放射線の世界

放射線の世界

放射線が飛ぶ様子を捉える

身の回りに飛んでいる放射線は目には見えませんが、霧箱という実験装置を使うと、放射線が通過した跡が観察できます。

身の回りの放射線

放射線は、宇宙から降り注いだり、大地、空気、そして食べ物からも出たりしています。また、私たちの家や学校などの建物からも出ています。目に見えていなくても、私たちは今も昔も放射線がある中で暮らしており、放射線を受ける量をゼロにすることはできません。

宇宙から

宇宙は、今からおよそ138億年前のビッグバンによって生まれたと考えられています。

私たちの住む地球は、そのビッグバンから90億年ほどたった46億年ほど前に誕生しました。
この宇宙には、誕生時からたくさんの放射線が存在し、今でも常に地球に降り注いでおり、これを宇宙線といいます。

宇宙線は、地上からの高度が高いほど多く受けます。例えば、標高の高い山では、平地と比べて大気中の空気が薄くなるため、宇宙線を遮るものが少なくなり、平地よりも多く受けます。

食べ物から

食べ物には、主にカリウム40という放射線を出す物質(放射性物質)が含まれており、自然界にあるカリウムのうち0.012%がカリウム40です。

カリウムは、植物の三大栄養素の一つといわれ、私たちは野菜などを食べることで体内にカリウムを取り込んでいます。

そのカリウムは、人間の体にも欠かせない栄養素であり、体重の約0.2%含まれています。

空気から

空気には、主にラドン(岩石から微量に放出される希ガス)という放射性物質が含まれており、ラドンは世界中の大地から出ています。

また、石やコンクリートの壁から出ているため、石造りの家が多いヨーロッパでは、寒冷なことから窓を閉めることが多く、日本に比べ室内のラドンの濃度が高くなっているといわれています。

大地から

46億年ほど前に誕生した地球の大地にも放射性物質が含まれており、こうした環境の中で全ての生き物が生まれ、進化してきました。

大地では、岩石の中などに放射性物質が含まれています。放射線の量は、岩石に含まれる放射性物質の量によって変わります。

例えば、イランのラムサールやインドのケララ、チェンナイといった地域では、世界平均の倍以上の放射線が大地から出ています。

日本でも関東地方と関西地方を比べると、関西地方の方が年間で2~3割ほど自然放射線の量が高くなっています。このような地域差があるのは、関西地方は大地に放射性物質を比較的多く含む花こう岩が多く存在しているからです。

出典:文部科学省「中学生・高校生のための放射線副読本」より作成